このまま時間が止まってしまえばいいのにって
無理だとわかっているくせに そう思ってしまう
せめて六角中のまま高校生活が始まればいいのに
「ハルはやっぱり推薦? テニスの」
「まーな」
「スポーツ名門の男子高か 凄いね」
「人のこと言えねーだろうが」
「まあ…私もバスケ関連で女子高に行くんだけれど」
新しい環境に不安があるわけじゃない
ただ こうしてハルと並んで帰ることもなくなっちゃうんだろうな
いつかはそんな世界に慣れてしまうのだろうか
そして こんな切ない気持ちも忘れてしまうんだろうか
「じゃな」
「また明日ね」
奴が消えて行くのは隣の家の玄関
悔しいけれど あいつ何もわかっていないんだろうな
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