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78      言葉にならない想い   (跡部景吾)
 
 
 
 
 
 日の光がそのまま糸になったかのように
 優しくなびいていた大好きな金色の髪
 それが無惨な形でコートの上に散らばったとしても
 私の指はその柔らかな感触を今でも忘れてはいない
 
 
 
 
 でも彼の髪が元通りになる時が来たとしても
 あの頃と同じような心でいてくれるとは限らない
 心の奥深くに刻まれた大きな傷
 今の私はそれを癒してあげることさえ出来ずにいるの
 
 
 
 
 「バッサリ切った私の髪で 前と同じ髪型のカツラを作るとか」
 「…やめておけ」
 
 
 
 
 眠っているのかとばかり思っていた唇が小さく動いた
 
 
 
 
 「俺の指先が寂しくなっちまうだろうが」
 
 
 
 
 
更新日時:
2006/04/10
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Last updated: 2010/5/14