彼女を抱きしめる時は 当然眼鏡を外すことになるが
どうやらその行為には未だに慣れぬご様子で
体を胎児のように縮めて固く目を閉じてしまう
「貞治くんがいけないんだよ」
「どうして?」
「だって眼鏡の向こうに こんなにハンサムな顔を隠しているんだもの…」
それはどちらも変わらない『俺』という存在なんだけれどね
でもまあ どっちとも愛してくれているみたいだから 良しとしようか
「男の人って 本当に色々なことを隠しているのね」
まずはそのお喋りな口を封じてから こんなことを言ってみる
「女の人もそれ以上 色んな表情を持っているよ?」
「そうかな…」
それをこれからゆっくり教えてあげる
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