レースのカーテン越しに見つめた月は
いつもより大きく 降り注ぐ光も洪水のように思えた
前にも一度こういうことがあった
彼女の体を包む唯一のブランケットをそっと外して
青白い光にさらされる様子をただ眺めていた
まるで磁器で作られたもののように輝く とても滑らかな体
何か特別な存在に捧げられたかのような…
それまで自分が何をしてきたかも全て棚に上げて
ひたすらにその美しさに酔い続けていた
「へん…なの」
「そうか?」
「だって蓮二くんの方がずっと綺麗なのに…」
俺の頬に伸びる指先
そして大きな月の姿を写し取る瞳
「私 見られていたんだ」
「そうだな」
「もっと見せびらかしてもいい?」
いじらしく言った直後の唇が 妖しく微笑んだ
「来て?」
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