LOVERS

67      こんなに欲しいと思うのは罪?   (真田弦一郎)
 
 
 
 
 あなたを想う気持ちは少しも変わっていないのに
 その質がだんだん変化していることに気付き始めている
 制服やユニフォーム越しに存在している男の人の体
 もしそれで 私の全てを奪ってくれたなら…
 『愛』とも『欲』とも言えぬ この気持ち
 自分の心の中だけに止めておけないほどに
 ひたすらに大きく そして強く
 
 
 
 
 「新菜」
 「えっ?」
 「どうして泣いている?」
 知らぬ間に伝う涙を そっと拭ってくれる大きな手
 闇の中でもはっきりとわかる茶色の瞳
 それを真っ直ぐ前にしか向けられないほど 不器用な人
 
 
 
 
 「なんでもないの」
 「しかし…」
 「弦一郎」
 彼の背に手を回して 自分の体へと引き寄せる
 「もっと強く抱きしめて」
 その時にあなたの胸が涙に濡れてしまったとしても
 どうか何も知らないふりをしていて…
 
 
 
 
 
更新日時:
2005/01/30
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Last updated: 2010/5/14