あなたを想う気持ちは少しも変わっていないのに
その質がだんだん変化していることに気付き始めている
制服やユニフォーム越しに存在している男の人の体
もしそれで 私の全てを奪ってくれたなら…
『愛』とも『欲』とも言えぬ この気持ち
自分の心の中だけに止めておけないほどに
ひたすらに大きく そして強く
「新菜」
「えっ?」
「どうして泣いている?」
知らぬ間に伝う涙を そっと拭ってくれる大きな手
闇の中でもはっきりとわかる茶色の瞳
それを真っ直ぐ前にしか向けられないほど 不器用な人
「なんでもないの」
「しかし…」
「弦一郎」
彼の背に手を回して 自分の体へと引き寄せる
「もっと強く抱きしめて」
その時にあなたの胸が涙に濡れてしまったとしても
どうか何も知らないふりをしていて…
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