LOVERS

66      触れるだけのキス   (幸村精市)
 
 
 
 
 
 夕焼けのオレンジ色の光が射す病室で
 穏やかな表情のまま眠り続ける人
 一切の汚れを知らない 真綿の雪のような
 そんな美しさを前に ただ黙って立ちつくしていた
 
 
 
 
 
 もしそれに例えるものがあるとしたら
 白い雪の名前を持つお姫様
 ガラスの棺に横たわりながらも
 それでも王子の心を捕らえて離さなかった
 私も王子の心のままに 一歩ずつ前に進んで行く
 目覚めてほしいのではなくて
 ただ…そうせずにいられないだけ
 
 
 
 
 「…新菜?」
 「おはよう 精ちゃん」
 
 
 
 
 
更新日時:
2004/12/11
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Last updated: 2010/5/14