好きか嫌いか問われたら…多分好き
でも得意か苦手か問われたら…おそらくは苦手
私にとっての忍足侑士という人間は そういう存在だった
時にはひょうきんなことを言ってみんなを笑わせる時もあるけれども
あの目は絶対に笑っていない! そんな気がする
「なんやそれ 俺は今までそんな理由でつれなくされとったんか」
子供のようにふてくされた表情で
手渡してくれたのは ほどほどに眠れなくなりそうなカフェオレ
「だって 実際そうだったでしょ」
「あんなあ…」
ソファーにドカッと腰掛けて溜め息をついている
「男心ってのはな めっちゃごつそうに見えて激しくデリケートなもんなんやで」
「なにそれ」
「好きな子を笑わせたい半面 自分への反応も気になるってこと」
「…は?」
「ほら オープニング始まるで」
今夜見る映画は 侑士お勧めのとびきり甘いラブストーリー
でもすぐに物語と現実が一緒になってしまうね
一番初めのキスシーンから エンディングのテーマが流れるまで
きっと画面なんて見せてもらえない
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