ピアノを思った通りに弾くことが出来なくて
唇を噛みながら 悔し涙を流していた男の子
なのに一体いつ頃私の背を抜かしてしまったんだろう
その優しい笑顔を見上げなくてはならなくなってから
私の中で淡く切ない気持ちが どんどん膨らんでゆくのを感じた
「緊張しているの?」
「少し…本当は落ち着かなくちゃならないのに」
「長太郎くん…」
「優しくしたいって思っているんです」
弱々しく微笑む彼の首に腕を絡めて
強引に唇を奪ってみた
一番最初の大人のキスは 私が教えて上げる
でもその先の全てはあなたの方から
ただ優しいだけじゃない あなたの手で
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