LOVERS

56      Courtisaneのように   (跡部景吾)
 
 
 
 
 
 自分から口付けてはいけない
 『愛している』と言ってもいけない
 まるで十二時という時間に縛られた姫君のように
 それらは私の全てを束縛し続ける
 シルクの下着が下に落とされても
 優しい手で愛撫を繰り返されたとしても
 私は自分の意識を決して手放したりしない
 なんて不毛な恋
 でも…もし本気になってしまったら
 私という存在は サラサラと乾いた砂になって
 あの人の手の隙間からこぼれ落ちてしまう
 
 
 
 
 バーカ
 いつまでも下らねぇ意地張ってんじゃねーぞ
 悔しかったら 起きたときに左手の薬指をチェックするんだな
 きっかり三時間後にはその体を白いドレスで包んでやる
 初めての口づけは祭壇の前で
 強引に奪ってやるから覚悟しな
 
 
 
 
 
 
更新日時:
2004/12/18
前のページ 目次 次のページ

戻る


Last updated: 2010/5/14