LOVERS

44      ただ側にいて   (田仁志慧)
 
 
 
 
 
 指で突っつくと プヨンと返ってくる大きなお腹
 その中には何か魔法のようなモノが入っていて
 それが上下しているのを見ているとね
 何かに包まれているような気がして とっても安心するんだ
 
 
 
 
 「リアル版美女と野獣ってトコ?」
 「いや あれは美少女と珍獣ってとこだろ」
 こういう発言に真っ先に反応するのは いつも女の子の方で
 「ちょーっと 甲斐くんに知念くんッ」
 「おっと 日生ちゃん聞いていたの?」
 知っていてわざととぼける2人組に 彼女の言葉は遠慮なく飛ぶ
 「慧くんのこと そんな風にバカにしないでよ!
 慧くんはっ ただ人よりポッチャリしているだけなんだから」
 「ポッチャリ…」
 「そんなことばっかり言っていたら ゴーヤ喰わすからねっ」
 
 
 
 
 「それはこっちの台詞ですよ」
 「ゲッ 木手部長!?」
 「そんな少年マンガのような事を言ってる暇があるのなら 2人で走ってきたらどうです」
 「そんなっ 俺まで?」
 「連帯責任です」
 
 
 
 
 木手部長の言葉は丁寧に聞こえても 本当は怖くてたまらなくて
 でも慧くんと一緒に走っている時に
 フーフー言いながら玉のような汗をかいている姿を見ていると
 結局どうでもよくなってしまったりするの
 「ねえ慧くん 競争しよっ」
 「へっ なんで?」
 「なんでもいいからっ それじゃお先っ」
 「ずーるーいーぞっっ」
 
 
 
 
 
更新日時:
2005/02/14
前のページ 目次 次のページ

戻る


Last updated: 2010/5/14