ちょっと前までは片想いだったの
本人の側に行くことさえ戸惑ってしまうくらいの…
目が覚めると サラサラとなびく銀色の糸が見える
いつもは赤い紐で束ねられている彼の髪が
どれくらいの長さであるかなんて 想像したこともなかった
でも今の私は それに自由に触れることを許されている
「ねえ これって夢なんじゃないのかな」
眠っていた私を抱きしめてくれる大好きな人
吐息がまつげに触れてしまいそうなくらいの近さで
これが夢でないのなら 一体何なの!?
細くて長い指が私の茶色の髪を滑ってゆく
「これがもし夢だったとしたら」
「したら?」
「ずっと覚めなきゃよか そう思うだけじゃ」
ねえ 雅治
こうしていつもの何気ない言い方で
いつまでも私のことをその気にさせてね
|