面倒くさいんだよね…
あの子の姿が見えないだけで イライラしてさ
でも見かけたとしたら 心臓のドキドキが止まらなくてさ
自分で自分のコントロールが出来ないなんて
はっきり言ってさ むかつくんだよね…
「伊武くん 今日日直だったよね?」
「えっ…そうだっけ…」
「先生がこのプリントを配っておくようにって言っていたよ」
「なにそれ…面倒くさいよなあ…」
びっくりした顔のまま 体をピクッと震わせている
別にそんな顔をさせたかったわけではないのだけれど
「あのっ よかったら手伝おうか…?」
「そうだね そうしてくれる?」
クラス人数分のプリントを半分こ
本当は少しも面倒だと思っていないことは
わずかに歪んだ 彼の口元だけが知っている
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