37
雨上がりの青空 (宍戸亮) |
突然降り出した雨を避けるようにして
見知らぬ店の前に立つ2人
その上の 申し訳ない程度の屋根に守られながら
「激ダサ…」
「えっ?」
「別にテメーの事じゃねえよ その…雨がだ」
「うん」
いつもなら憎まれ口くらい いくらでも出るのに
どうして今はこんなに切ない気持ちになるのかな
雨が作る壁の中で まるで世界に2人だけのよう
だからきっと何を言えばいいのかわからないんだ
「おい!」
「え…なに?」
「雨上がっているぜ 行くぞ」
グレイの空がほんの少し切れて
そこから青い空が覗き込んでいる
それが亮の青い帽子に繋がっているような気がして
なんか妙に幸せな気持ちになった
|
|
|
|
|