LOVERS

30      嘘つきな唇   (越前リョーマ)
 
 
 
 
 
 「愛しているから」
 たった一言で 電話口の向こうの相手の顔が
 ブワワッと真っ赤に染まって行く様子が見えるような気がする
 だからやめられなくなっているんだよね
 マグマの中に炎を放つような真似をすることが
 
 
 
 
 「まだ慣れない?」
 「慣れないよ…だってリョーマくんいつもいきなりなんだもの」
 「…まだまだだね」
 「でもこれって仕方ないんだよ」
 「何が?」
 「私 いつだってリョーマくんにドキドキしているんだもの…」
 
 
 
 
 『まだまだだね』
 
 
 
 
 完全に口癖になってしまっているこの言葉
 それを丁重に受け取らなくてはならないのは 本当はこちらの方なんだろう
 携帯電話の向こうにいる少しおとなしめの女の子に
 ゾッコン参っているのは自分の方なのだから
 
 
 
 
 
 
更新日時:
2005/12/14
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Last updated: 2010/5/14