「愛しているから」
たった一言で 電話口の向こうの相手の顔が
ブワワッと真っ赤に染まって行く様子が見えるような気がする
だからやめられなくなっているんだよね
マグマの中に炎を放つような真似をすることが
「まだ慣れない?」
「慣れないよ…だってリョーマくんいつもいきなりなんだもの」
「…まだまだだね」
「でもこれって仕方ないんだよ」
「何が?」
「私 いつだってリョーマくんにドキドキしているんだもの…」
『まだまだだね』
完全に口癖になってしまっているこの言葉
それを丁重に受け取らなくてはならないのは 本当はこちらの方なんだろう
携帯電話の向こうにいる少しおとなしめの女の子に
ゾッコン参っているのは自分の方なのだから
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