一つしか年は違わないけれど お兄さんのようなその人は
その大きな手で何度も私の頭を撫でてくれた
「大丈夫だよ」
「あの男は絶対に嘘はつかないからね」
「きっと君のことを守ってくれるよ」
連れて行かれたのは 待ち合わせ場所の駅前
そこで初めて『あの人』を見つけたの
鋭い眼光は それでもびっくりするほど透明で
簡単に人を寄せ付けないのは
自分の場所をしっかりと持っているということ
気がついた時には 一緒に来た人の手を引っ張っていた
「…素敵な人ですね」
「それを本人の前で言ってやるといい」
まるで悪戯を企むような そんな口元
「きっと面白いものが見られると思うよ」
「それで私が海堂くんを素敵だって言った時にね…」
「もういい…」
「どうしたの? 顔真っ赤だよ!」
「だからもう勘弁してくれ」
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