疲れ切っている肉体と 規則的に揺れるバスの動き
それは今の彼を安らかな眠りへと誘う子守歌
「赤也…?」
気が付いた時には彼の体はゆっくりと傾いて
私の肩にそっと頭を乗せていた
こういう時って 幸せすぎて笑いが止まらなくなってしまう
だって…ね きっとこういうのって 私しか知らないんだ
この人がこんなに可愛い顔で眠るなんて
赤ちゃんみたいに口元がむにゃむにゃするなんて
スースーって穏やかな寝息を漏らすなんて
一度目覚めれば もの凄くスッキリした顔で帰宅するから
家族だって多分知らないと思う…こんな顔
だから もう少しだけこのままでいさせてね
疲れているあなたの為に
私のささやかなお楽しみの為に
「で なんで俺達こんなところにいるんスかね」
「ごめん…」
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