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緩くまわされた腕 (丸井ブン太) |
桜の花びらがサーッと風に舞って
まるで空気の全てがピンク色に染まったみたい
そんな中でもやっぱり目立っている赤い髪を見つけて
慌てて走り寄っていった
「おはよう ブン太!」
「ん…?」
振り向いた彼の口元には
おそらくは買ったばかりの苺のドーナツ
…ああ やっぱり花よりお団子の人でしたか
それでも苺のピンク色が春を思わせるみたいで
その偶然がやっぱり嬉しかった
片手にドーナツを持って
そしてもう一方の腕に私が腕を絡めて
今しかない新しい季節の中を
こうして2人で歩いてゆこう これからもずっとね
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