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14      今だけでいいから   (壇太一)
 
 
 
 
 
 どれだけの練習を繰り返したとしても
 『敗北』というものは それに関係なく訪れる
 わかってはいたけれど…信じたくはなかった
 確かに自分たちはコンソレーションで代表の座を得たけれど
 でも運を引き寄せるだけの力は持っていた筈だから
 
 
 
 
 先輩たちから託された男子テニス部の未来
 悲しむ間もなく それらは重くのしかかってくる
 部を引き継いだ二年生を中心にして
 自分たちはまた走り出さなくてはならない
 当たり前だけれど そこには千石も南も東方もいない
 そして 怪物と呼ばれた尊敬するあの人も
 
 
 
 
 「本当は越前くんのようなプレイヤーになりたかったです」
 「…うん」
 「でもその前に山吹の選手にならなくちゃって思いました」
 「そうだね」
 
 
 
 
 でも今の自分は弱いから
 気持ちだけで前に行けるほど強い選手ではないから
 くじけて つまずいた末に 泣き出したりすることもきっとある
 「今だけでいいです…手を握ってもらっても良いですか?」
 「うん いいよ」
 
 
 
 
 これから何回『今だけ』の時間が訪れるだろう
 それでもあなたの温もりだけは いつでも僕を信じてくれる
 
 
 
 
 
更新日時:
2005/09/22
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Last updated: 2010/5/14