どれだけの練習を繰り返したとしても
『敗北』というものは それに関係なく訪れる
わかってはいたけれど…信じたくはなかった
確かに自分たちはコンソレーションで代表の座を得たけれど
でも運を引き寄せるだけの力は持っていた筈だから
先輩たちから託された男子テニス部の未来
悲しむ間もなく それらは重くのしかかってくる
部を引き継いだ二年生を中心にして
自分たちはまた走り出さなくてはならない
当たり前だけれど そこには千石も南も東方もいない
そして 怪物と呼ばれた尊敬するあの人も
「本当は越前くんのようなプレイヤーになりたかったです」
「…うん」
「でもその前に山吹の選手にならなくちゃって思いました」
「そうだね」
でも今の自分は弱いから
気持ちだけで前に行けるほど強い選手ではないから
くじけて つまずいた末に 泣き出したりすることもきっとある
「今だけでいいです…手を握ってもらっても良いですか?」
「うん いいよ」
これから何回『今だけ』の時間が訪れるだろう
それでもあなたの温もりだけは いつでも僕を信じてくれる
|