REBORN!

9      忘れてしまった   (マーモン×クローム髑髏)
 
 
 
 
 
 ふわふわの羽布団と 女の子の優しいぬくもりに抱かれながら
 僕は何かを思い出す
 遙か彼方 霧の向こうに隠れてしまい 見えなくなった真実
 ねえ…信じられる? 僕がかつて『大人』であったことを
 
 
 
 
 呪いを解こうと必死に試行錯誤を繰り返したかつての日々
 なのに肝心の僕自身は 本当の自分を思い出すことが出来ない
 今と引き替えにしてもかまわないくらい 大切なものがそこにはあったんだろうか
 
 
 
 
 たとえば幾人もの愛人を守るため 常に身近に置いていた男のように
 たとえば自分の教官を愛したことで その苦悩までも背負おうとした男のように
 
 
 
 
 「別にどうでもいいことなんだけれどね 今となってはさ」
 「あまり強がりを言ったら可哀相よ?」
 「誰が?」
 「だってもしかしたら『その人』の為に呪いを解こうとしていたのかもしれないのに…」
 
 
 
 強く抱きしめてくれる腕の感触を全身で感じると
 大人になれない『マーモン』と
 大人であったはずの『バイパー』
 たった一人の僕が持つ二つの心が静かに揺らいでいるのがわかる
 
 
 
 
 違う…違うんだよ 小さな可愛いクローム
 僕は別に強がっているわけじゃない
 ただその時が訪れるのを 恐れ初めているんだ
 もしも僕が『今の僕』以外の存在になったとしても
 君はこうしてこんなに近くにいてくれる?
 
 
 
 
 「ねえ このまま寝てしまってもいいよね…?」
 「でももう少しで王子様が迎えにくるよ?」
 「そんなのほっとけばいいよ」
 「でも私…あの人あまり好きじゃないな あなたが骸様を嫌っているのと同じように」
 「ファンタズマを貸してあげるから それで柱に縛り付けてしまえばいい」
 「ええっ!?」
 「三時間はおとなしくしていると思うよ」
 
 
 
 
 …あの子がナイフで切り刻まれなければいいけれど…
 耳元に届彼女の心配そうな声と溜息
 その優しさを知りながら でも僕はあえて知らないフリをする
 
 
 
 
 
END
 
 
 
 
甘えん坊の隣で添い寝をしてあげる凪ちゃんの図
 
 
 
 
イメージソング   『NEVER EVER』   浜崎あゆみ
更新日時:
2007/06/05
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Last updated: 2010/7/31