今から十年前の出来事を 君は覚えているかな
初めて他人に見せたデータノートの隅に
小さく書かれていた告白の言葉
それは俺が君に一目惚れしてから一時間後のこと
あれから沢山喧嘩をして 同じ数だけの仲直りもして
それ以上のキスも繰り返してきた
初めの頃は それらの数を律儀に数えてみたりもしたけれど
時にそういうことさえ忘れさせてしまう…君はそういう人だった
ランプの光に浮かぶのは いつもよりも少し贅沢な夕食と
恋と同じ数だけの時を刻んだワイン
仕事の帰りに買ってきた薔薇とかすみ草の花束
…そしてお互いへの感謝の気持ち
「だぁ…」
おや 我が家のお姫様が目を覚ましてしまったみたいだ
でもおちびさんにはまだワインは早すぎるからね
今はママからミルクを飲ませてもらおうか
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