「はじめましてっ」
二つに結んだ栗色の髪を踊らせながら 頭を下げて
次の瞬間には少し弱々しく微笑んで見せた
その表情や仕草が可愛い子犬のようだと思ったと同時に
優しい言葉を何一つ言えない自分が妙に腹立たしかった
数週に一度の割合で会う約束をして
その通りに待ち合わせをして 何気ない時間を一緒に過ごす
だんだんと当たり前になってゆく それらの行為
でもそれとは反対に どんどん下降してゆく自分の自信
笑顔を向けてもらえるだけのことを 何もしてやれていない現実
「なあ お前 俺と一緒にいて楽しいか?」
「えっ…」
「こんな俺なんかにかまわなくても 別に…」
後悔した すぐに
こんなこと言わなければよかったと
小さく俯いて 溢れそうな涙を必死にこらえて
「それで 結局そのまま付き合うことにしたのか」
「仕方なかったんスよ…」
その泣き顔さえ 可愛いと思ってしまったのだから
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