LOVERS

88      執着の爪痕を背に残して   (仁王雅治)
 
 
 
 
 
 「なぁ どうして?」
 「…綺麗だから…かな」
 
 
 
 
 最近気がついたのは
 背中に回された時の手が きつく握られていること
 その時の力がスッと抜けている感じになって
 妙に心が寂しくなった
 
 
 
 
 「思いっきり抱きついても よかよ?」
 「駄目だよ そんなの」
 「そんなん寂しいだけじゃ」
 「どうして?」
 「俺がまだ新菜のモノになっていないような気がする」
 
 
 
 
 貪欲になってゆくこの気持ちは
 決して美しいだけのモノではないから
 お前の指先で細い傷を刻んで欲しい
 『執着』という血で汚れる瞬間でさえ
 俺はお前と2人でいたい
 
 
 
 
 
更新日時:
2005/03/15
前のページ 目次 次のページ

戻る


Last updated: 2010/5/14