LOVERS

85      見ているだけじゃ我慢できない   (丸井ブン太)
 
 
 
 
 
 いつもより少し早く部活を終えた日
 グラウンドを横切って テニスコートへと走る
 コートの上で必死にボールを打ち込んでいるのは
 私の大好きな人
 なんかラケットを持っていると 2〜3割かっこよく見えるよね
 不思議な気はするけれど それでもドキドキする
 
 
 
 
 「ほんと かっこいいよなぁ 丸井くーん」
 …はい?
 「あんな風にプレイ出来たらいいのにな ねっ?」
 フーッと溜め息をつくのは 隣に立っている知らない制服の男の子
 金色の髪が光にさらされてキラキラと光っている
 「ねえ そう思わない?」
 「うっ…うん…」
 「そうだよね! やっぱりそう思うよねっ
 俺さぁ 新人戦の頃からずーっと丸井くんに憧れてんだっ
 絶対かっこEーって!!
 俺もさぁ 『妙技!』とか言ってさ やってみたいんだよねー」
 
 
 
 
 次の瞬間 フェンスに飛んできたボールが叩きつけられて
 私たちの真横の部分がグラグラと揺れる
 「俺の新菜にさわるんじゃねーよ! そこの氷帝野郎!!」
 「あっ 丸井くーん やっほー」
 「聞いてねーだろ てめーっ」
 
 
 
 
 今のは一体なんだったのだろうか
 二人きりの帰り道に ブン太に聞いてしまいそうだ
 「ねえ…本当にブン太って尊敬されているの?
 遊ばれたりしていない?」
 その前に2人で帰れるのだろうか…
 
 
 
 
 
更新日時:
2005/01/13
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Last updated: 2010/5/14