LOVERS

73      掴まれた腕の熱   (手塚国光)
 
 
 
 
 
 「国光のばかぁーっ!!」
 
 
 
 
 思いっきりそう叫んだ直後の喉が痛かった
 こうなった理由なんて思い出せない
 私が我が儘を言ったせいかもしれないし
 彼がデリカシーを理解しないせいかもしれないし
 でも気がついた時は 地面を思いっきり蹴って
 その場から駆けだしていた
 
 
 
 
 「待て 梨緒!」
 「待たないもん なによ…離してよ!」
 簡単に追いつかれて掴まれた腕は
 痛みよりもその熱さが怖いくらい伝わってくる
 「いいや 離さない」
 「どうして…どうしてそんなこと言うのよ」
 「ここで離したら きっともう二度と会えなくなる…」
 
 
 
 
 我が儘を言ってしまうこともあるの
 時にはそれが自分でも止められないかもしれないの
 自分自身で積み上げて行く高い感情の壁
 ねえ あなたはそれでも乗り越えて来てくれる?
 
 
 
 
 「ごめんなさい…」
 
 
 
 
 そうしたら私 誰よりも素直な女の子になれるのよ?
 
 
 
 
 
更新日時:
2005/06/13
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Last updated: 2010/5/14