『疲れたから』なんてことは 理由にはならないけれど
それ以外に言い訳はどうやら見つかりそうにない
気が付いた時にはゆっくりと船を漕いでいて
結局部室の机の上に顔を伏せて くーくーくー
それはいつもと変わらずに厳しい練習のある午後の出来事
「んっ…」
後ろから訪れた ふんわりと漂う甘い花の香り
まるで大好きな彼に そっと抱きしめられた時のよう
『おはよう よく寝ていたね』
「精ちゃん!?」
でもそこにいたのは本人ではなくて
彼が愛用しているレギュラージャージの上着
きっと笑いをかみ殺しながら それでもそっと掛けてくれたんだ
ああ…まるで夢の続きをみているかのよう
これまでにないほどの甘い罪悪感を抱きながら
ジャージの袖口をギュッと握りしめた
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