芝生の上に寝転がって 幸福そうに微笑みながら眠る愛しい人
ほんの少しの意地悪のつもりで その鼻先に
柑橘系の甘い香りを放つ飲み物を近づけてみた
「んっ…」
やっぱりね リョーガはオレンジに弱いから
「どんな夢を見ていたの?」
「ガキの頃の下らねぇ夢だよ」
嘘ばっかり その下らない事を何よりも大切にしているくせに
そして私はその夢の中に いつまでも入ってゆくことが出来ない
「もし私たちの間に男の子が生まれたとしたら」
無理を承知でこんな事を言ってみた
「リョーマって名前を付けようか」
「嫌だね」
「俺の子供は お前によく似た女の子だって決まってんだよ」
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