「疲れた時には甘いものが良いというのは ご存じでしたか?」
いつもと変わらない水曜日の午後
図書室のカウンターの向こうから 彼はそっと私の手に向かって拳を開いた
そこからコロコロと転がってきたのは 甘いフルーツ味のキャンディ
「…内緒ですよ?」
誰にも知られぬよう そっと口に指を立てて
「ありがとう ヒロくん…」
甘いキャンディーはもちろん大好きだけれど
一番嬉しいのは 私だけにくれる優しい心
これでまた眠れなくなっちゃったくらい思いが募ったということは
心配性の彼には言わない方が良いのかな?
淡い光の粒と一緒に それを胸元でキュッと握りしめた
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