毎週水曜日 私が図書室のカウンターに座る日
まるで決められたかのようにやってくる人がいる
「ヒロくん…」
小さな声でそう呼びかけてみると
すれ違うときにそっと手を振ってくれる
そんな些細な事なんだけれど 心ごと溶けてしまいそうになっちゃうの
(小学生か あんたらは! ←ギャラリーの声)
ヒロくんはそこにいるだけで本当に素敵な人で
あのいつもの席に座った時の横顔なんてね
いつも以上に憂いがあって 大人びた感じで
まるで一枚の絵を見ているみたいでね
それから…それから…それから…
「それでは 今日はこれで」
「もう行っちゃうの?」
「ええ もうテニス部の練習も始まりますし」
厳しい表情かと思ったら…あれ? ちょっとだけ笑ってる?
「それにもう充分楽しませてもらいましたから」
「どんな本?」
「いいえ あなたの百面相なんですけれどね」
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