「『柳』って素敵な名前だよね」
データの整理をしていた時に 向側の席から聞こえてきた言葉
「誉めたって何も出てこないぞ」
「そんなつもりで言ったんじゃないもん」
一瞬だけ頬をプッと膨らませて
それでもすぐに恥ずかしそうに微笑んだ
「昔の人はね 親しい人と別れる時に柳の枝を渡したんだって」
「…ほう」
「またいつか出会えるようにっていう願いがあるのね」
「ならば お前はいつでも俺を忘れずにいてくれるのか」
「そうだね そうかもしれないね」
でももし俺の名前が『柳』ではなかったとしても
お前は同じ事を言ってくれるのだろう
そしてそれは いつか2人の名字が同じになって
決して離れることがなくなる日が訪れたとしても
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