LOVERS

25      知らない   (柳蓮二)
 
 
 
 
 
 「『柳』って素敵な名前だよね」
 データの整理をしていた時に 向側の席から聞こえてきた言葉
 「誉めたって何も出てこないぞ」
 「そんなつもりで言ったんじゃないもん」
 一瞬だけ頬をプッと膨らませて
 それでもすぐに恥ずかしそうに微笑んだ
 
 
 
 
 
 「昔の人はね 親しい人と別れる時に柳の枝を渡したんだって」
 「…ほう」
 「またいつか出会えるようにっていう願いがあるのね」
 「ならば お前はいつでも俺を忘れずにいてくれるのか」
 「そうだね そうかもしれないね」
 
 
 
 
 でももし俺の名前が『柳』ではなかったとしても
 お前は同じ事を言ってくれるのだろう
 そしてそれは いつか2人の名字が同じになって
 決して離れることがなくなる日が訪れたとしても
 
 
 
 
 
更新日時:
2005/06/09
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Last updated: 2010/5/14