「突然呼び出してしまってごめんなさい」
夏休みも真ん中を迎える頃
照り返しも眩しいアスファルトの道を並んで歩く
「別にかまわないわよ 長太郎くんの誘いなら」
「ありがとうございます」
でも今日の彼の笑顔はどこか影がつきまとっている
深く思い悩んでいるような…そんな重い表情
「長太郎くん?」
「氷帝が全国に行くことになったんです」
開催地枠…そんなものがあることを初めて知った
「おめでとう! よかったじゃない」
「でも俺達は敗北を存分に知ってしまったから
本当に喜んで良いのか どうすればいいのか わからないんです」
真面目でひたむきだからこそ
それを単なる幸運だとは思いたくなくて
「それでも行かなくちゃ」
「でも…」
「これからの氷帝を支える者として しっかりとその目と体で 全国を知らなきゃ」
少し離れていた体同士が ゆっくりと一つに重なってゆく
「いつでも応援してる だから頑張って」
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