LOVERS

18      鳴らない携帯   (木更津淳)
 
 
 
 
 
 いつも決まった時間にかけてきてくれる電話
 きっと寮生活の中で必死に時間をやりくりしてくれていて
 思えばそれで彼の愛情を計っていたのかな
 それがないだけでこんなに落ち込んでしまうなんて
 私 これまでずっとあっちゃんに甘えていたんだなあ
 本当は頑張っているあっちゃんを
 私が支えてあげなくちゃいけないんだけれど
 ーうまくいかないなあ
 
 
 
 
 …コツン…
 
 
 
 
 突然窓に石のようなものが当たる音
 一体なんだろう…こっそり覗いてみた窓の外で
 長髪の代わりに赤いはちまきが揺れている
 「あっちゃん!?」
 「…ただいま 梨緒」
 大慌てで下に降りて 外で待っていてくれた人の腕に飛び込む
 「どうしたの?」
 「家の用事でちょっと帰郷」
 
 
 
 
 憎らしいくらいの笑顔と寒さに震えている体
 それにしっかりとしがみつきながら
 「あまり心臓に悪いことしないでね…」
 「そうだね なるべく控えるようにするよ」
 
 
 
 
 
更新日時:
2005/06/15
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Last updated: 2010/5/14